20年以上前、私が統合失調症になったばかりの頃、ネットで検索すると、統合失調症患者は10人に1人は自殺で亡くなっていると何かで読んで、とても悲しくなった記憶があります。
いつもこのブログでは、私の少ない経験の中から伝えられることは伝えているつもりですが、たまには本から学んだ内容を中心にお伝えしてもいいかと思い、今回の内容を書いてみました。
『生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)がある』の著者の方は、日本でも有数の自殺率の低い地域(徳島県旧海部町)を研究されています。
とても面白い内容なので、いつかこれについて書いてみたいと思っていました。
自殺率の低い町には以下のような特徴があるようです。
いろんな人がいてもよい、いろんな人がいた方がよい
『生き心地の良い町』岡檀、講談社、37頁
今でこそ、多様性を認めることは叫ばれていますが、旧海部町では「統制」や「均質」を避けようとする傾向があるようです。いろんな人がいてもいい。いろんな人がいた方がよい。いい言葉ですね😃
人物本位主義を貫く
『生き心地の良い町』岡檀、講談社、50頁
この地域の人は、職業上の地位や学歴、家柄や財力にとらわれることなく、その人の問題解決能力や人柄をみて評価するのだそうです。本当の能力を見抜く力が住民全体にあるということでしょうか。
どうせ自分なんて、と考えない
『生き心地の良い町』岡檀、講談社、57頁
「自分のような者に政府を動かす力はない」と考える人の割合が少ないようです。そうすると、人は主体的に社会と関わることができるようです。
「病」は市にだせ
『生き心地の良い町』岡檀、講談社、71頁
この地域の人は、うつになったときの精神科受診率が高いそうです。日常生活でも、精神疾患のことを、わりとオープンに話していて、精神疾患になった人のところに皆で励ますために押しかけるとか聞いたこともあるそうです。そういえば、私も統合失調症になって退院したあと、友達が実家まで来てくれて嬉しかったのを思い出しました😃
この地域の人たちは、精神疾患になっても、年老いても、自分や他人の価値を低くみていないようです。だからか、そういう状況になっても堂々としていられる人が多いようです。
ゆるやかにつながる
『生き心地の良い町』岡檀、講談社、83頁
この地域では、「日常的な生活面での助け合い」は少なく、「立ち話程度」「あいさつ程度」のコミュニケーションを切れないように続けているそうです。
この本を読むと、本当の意味での民主主義が機能している町って、自殺率が低くなるんじゃないかと思います。
私の参加させていただいている統合失調症のコミュニティ「スキゾ」も、母親のコミュニティも、色々な人がいることを認めてくれているところや、自分でもできることを主体的に取り組みたいと考えてる人が多いこと、しがらみがなくその人となりを見て皆が判断していること、弱みをオープンにしていること、オンラインでゆるやかにつながっていること等、性質として近いものがあるような気がします。
今はまだ、立証されてないけど、自殺を予防する効果が民主主義的に運営されているコミュニティにはあるのではないかと思います。
以前の社会では、自分の生まれ育ったコミュニティ以外にはなかなか出会えませんでした。今の時代は、オンラインで、無数にあるコミュニティのなかから、自分にとって居心地のいい場所を見つけやすくなって、ほっとしている人も多いのではないかと思います。