※どうか統合失調症の陽性症状時の記憶を思い出したくない方は今回の記事は読まないでくださいm(_ _)m
20数年前、統合失調症になったとき、私はたまたま早期に発見してもらったにも関わらず、自己判断で7ヶ月くらい仕事をしながら無治療で過ごしてしまいました。
最初は職場の人達に悪口を言われている、という感覚から始まりました。その後、部屋を盗聴されている、皆で自分をクビにしようとしている、入院直前の頃は考えが筒抜けになっている、その他ありとあらゆる妄想を経験しました。
今考えると面白いのは統合失調症特有だと思うのですが、世の中の見え方が、これまでの自分の考えていた世界の造りそのものが間違っていたんだと謎解きをするような感覚で、自分の世界が崩れていったことです。入院数日前は地面も揺れているように感じていました。
当時、職場の同僚が結婚して、皆にチョコレートを配ってくれたときは、結婚はその人が生け贄?になって、皆がその身体の一部を食べているのだと病的な妄想で思い込んでいました。なので、お祝いのチョコレートをもらっても食べるのが怖くて皆が平気で食べているのを見ていて本気で震えていました。
ちなみに、チョコを食べているのを見ているだけで震えて泣いている私を見ていた当時の先輩は、そのときも、休職して復帰したときもとても優しく、20年経った今もお会いしたときはニコニコしながら声をかけてくれて、ものすごく救われています…。
その頃は色んなものに影響されやすく、映画『千と千尋の神隠し』を仕事帰りに3回も映画館に観に行って、休んでおけばいい仕事を休みもしないで、仕事をしなければ大変なことになると思い込みながら千尋の名言?「仕事をさせてください。」を連発しながら本気になって仕事をしていました…そのため、その頃の記憶なので妄想か区別がつかないのですが、支店長に「君は合格!」と言われた記憶もありますが、妄想だったかもしれません…。
入院する頃は、人は結婚するとバラされて皆の栄養になって、最後は機械になるのだとよく分からない世界観になっていました。目の前の人が話す言葉が本気でそう言っているように聞こえました。それで嘘なんじゃないかとよく気を付けて聞いていると余計に怖い妄想に確信的になってしまって入院前2~3日はまともに人と話ができなくなりました。
そのときはご飯も食べられませんでした。
入院した病院に担ぎ込まれたとき、半年前に一度だけお世話になった先生に、またお世話になることになりました。悪口の幻聴と盗聴の妄想だけだったころに、先生の言う通りにしておけば入院まですることもなかったのに、言葉も交わせないほどの状態になった私を見て、先生は指の先でピチっとビンタの真似事をして、「…バカ」といって、それから当時でたばかりのジプレキサでがっつり治療してくれました。結果、私は1ヶ月くらいで幻聴が消え、退院の頃は主治医の先生に「あなたは入院した頃は重症だったけど今は軽症です。」と言われるまで回復しました。その回復ぶりは当時は医師でも驚くくらいだったらしく、その後、お世話になったH先生に転院したときは私の回復具合に驚いてH先生からの指令で2回ほどその先生にお礼状を書くことになりました。
回復してからもあまりに当時の妄想の印象が残っていて、世の中が平和なんだと実感するまでにはしばらく時間がかかりました。
個人的に、妄想は怖すぎて、生きている気がしなくなるので、私は薬をのんでのほほんと生きたい派です。