昔10年以上ずっとお世話になっていたH先生はいつも
「病ではなく人を看よ」
の色紙を掲げて診察にあたってくれていた。
もうご高齢で亡くなられてしまった方なので、こういうことを書いてしまっていいのか迷ったが、私にとっては宝物のような思い出なのでこんな先生も世の中にいたりするよ、と言う意味で書いてみようかと思う。
そもそもH先生はサービス精神旺盛で時々私から見るとユニークな視点や知識でアドバイスをしてくれた。
エピソード1
当時付き合っていた夫に統合失調症をカミングアウトするときにどうやって言えばいいか迷ってH先生に相談してみた。(ちなみに夫は精神疾患はもっていない。)H先生は熱心にきいてくれて、そのうえで
「はなさん、そういうときは「私は青春の迷い(だったと思うんだけど、多分こんな感じの言葉です(^^;))にあったことがあるのです」と相手の人に説明すればいいんですよ!!(^^)!」
とアドバイスしてくれた。
H先生は本気で、一言で統合失調症の本質を言い表していると思ってこう伝えてくれたのだと思う。でも、統合失調症と言っても一般の人にはなかなか通じないのに私にもよくわからない「青春の迷い」という言葉では多分夫には通じないだろうと考えて、別な伝え方をしてしまった。(すいません先生…)
エピソード2
H先生に夫と結婚することを伝えたら、
「その相手の方は長男ですか?次男ですか?」
とノリノリで聞いてきた。
「兄弟の順番によって性格に特徴があるんですよ!」
と。ちなみに、夫はそのどちらでもなく、その場合についてのデータは先生は持ち合わせていなかったらしい…
今となっては長男やら次男やらの傾向と対策を是非聞いておきたかった…
エピソード3
友人が安定した職を捨てて臨床心理士になる!と決めて大学院を受けると聞いたことでモヤモヤして先生に相談した。
診察に関係ないどうでもいい相談なのに、そこでもH先生は熱心に相談にのってくれた。
「はなさん、臨床心理士になるなら放送大学がいいですよ。あそこが一番いいです!」
と、放送大学大学院の臨床心理士になる課程をすすめてくれた。
「いや、先生、私が臨床心理士になりたいわけではなく、何となく、友人の自由な感じが羨ましかっただけなんです。」
と伝えたら、H先生は
「自由な感じがうらやましい、ですか…何となくわかります。」
と共感してくれた。
当時、私のこういった気持ちに寄り添ってくれる人は他にはいなかったため、H先生の熱心なアドバイスに何度気持ちを救ってもらったかわからない。
H先生はいつも誰に対してもわけへだてなく接してくれたので私は最高にありがたかった。
先生は弱っている人の気持ちに共感し、社会の理不尽さを怒るやさしさをもっていらっしゃったので、
「このあたりの○○の業界は全滅ですよ!」
と怒りながら診療されていたり、
「以前、管理職をしていた病院で悪い看護師がいて、追い出したかったけどできなかったんだ!」
とか言われていたので、誰かをいじめるとかしてH先生に目をつけられたらその人は大変だったろうなとも思っていた。
でも、患者の話を一生懸命聞いてくれて、病院の弱い立場の人を守ろうと一生懸命になってくれる偉い人がいる、という事実が「社会ってちゃんとした人が回してくれてるんだな~」という安心感になっていつもH先生と話をすると安心した。
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