統合失調症のカミングアウトをするまで

私は今の会社で入社2年目に統合失調症を発症した。

一時は入院までしたものの回復し、仕事にも復帰させていただいて同じ組織で働き続けさせてもらえた。

病気になったからと、猛烈な残業をする職場ではなく、「配慮」していただいた比較的余裕のある職場に行くことができた。

組織で働くことがどういうことかすらわからない自分に、H先生は社会で生き抜く方法を「上司」の視点からも教えてくれた。

そのおかげで私は今の仕事を続けることができた。

多分私の場合、統合失調症にならなかったら今の仕事は続けられなかったのではないかと思う…

最近、職場で統合失調症をカミングアウトした。

最初に発病したときには「精神分裂病」の診断書が職場に提出されていたのだけど、その後、転勤を重ねるうちにうやむやになってしまって、それに便乗してなんちゃってクローズ?で統合失調症を特に伝えないで仕事をしていた。

それで特に支障がなければ統合失調症をカミングアウトすることはなかったと思う。

実際、統合失調症と伝えるとめんどくさいこともあったから糖尿病の人が職場でいちいち「糖尿病です」と言わないように私も「統合失調症です」とは言わないできた。

ところが、子どもを2人産んで復帰してみたら、仕事の継続が異常に大変になってしまった。

私の実感としては統合失調症を抱えながら仕事をすることより子ども2人を抱えながら仕事をすることの方が滅茶苦茶ハードルが高いのに、家庭の事情をいくら並べても「配慮」してもらえなくて仕事の継続が困難になってきた。

それなのに、自分にとっては仕事が無くてはならないものになってきた。

子どもを二人抱えて、家族の助けがあるとはいえ毎日夜9時過ぎまで残業してもそれが当たり前で、それができるから「もっと、もっと」と言われていくら「無理です!」と言っても「できるだろ、やれ」と言われるようになってしまった。

それで無理をしすぎて身体もメンタルも家庭もダメージを受けて、窮地に追い込まれてしまった。

そんなとき、同じ統合失調症の人に「統合失調症をカミングアウトしたら楽になった」と聞いて、たまたまそのときの自分の環境がカミングアウトしても大丈夫そうな人間関係だったので、思い切って職場でカミングアウトしてみた。

実は困っている本当の理由は「統合失調症」がメインじゃないんだけど…

結婚してから「女だから当たり前」な事情に翻弄されて統合失調症になったときよりはるかに長い期間職場を休むしかなくなった。

復帰してからもどうやっても子ども二人を見ながら長時間労働なんか無理なのに平気で押し付けられてきた。

いくらそれに抗議しても「当たり前」「できるだろ」と言われてきた。

私の職場の場合、なぜか「精神疾患」というとそれから逃げることができた。

「精神疾患で休んでいる」という恥と偏見は覚悟しないといけなかったけど…

とうとう「統合失調症」という病名までカミングアウトして、職場に「配慮」を求めないと仕事の継続が厳しくなるまで追いつめられてしまった。

自分の統合失調症に関しては、実は「病気を悪化させると状況がすごく悪くなるリスクはあるけど、コントロールがうまくいって無茶さえしなければ社会生活にはそんなに支障のない病気」という認識だったのだけど…。

私の友人や同僚たちは統合失調症ではなかったが、そのため厳しい基準で社会で戦うハメになりたくさんの人が職場から去っていった。

そして、なぜか(多少の恥を我慢できれば)「精神疾患」ということで仕事から一時的に逃がしてもらえて、そうでなかったらとっくに潰されていたであろう人間が今の職場に居続けられるという不思議な現象がおきている…

タイトルとURLをコピーしました