主治医を変えたときの話(その3)

職場の仕事と人間関係で圧迫されて体調を崩したとき、休むための診断書名を統合失調症とはっきり書かないでほしいと当時の主治医にお願いした。

当時の主治医は「嘘の診断書を書けというのか」と怒り出して、それでも頼み込んだら1回だけはぼかした診断名の診断書を書いてくれた。

それから、おもむろに

「あなたはここに来るのも大変だから、地元の病院に行ってはいかがですか」

ととても冷たい態度で言い始めた。

とりあえず1ヶ月の診断書を書いていただいて猶予はもらえた。もう、主治医との信頼関係は壊れてしまった。覚悟するしかなかった。

当時の主治医に

「行先は決めていませんがこの状態で通院は大変なので、地元のどこかの病院に転院したいです。紹介状を書いていただけないでしょうか?」

とお願いした。

「紹介状を書くには時間がかかります。書いておきますので後日受け取りに来てください。」

と言われて了解して、それが当時の主治医との最後の診察となった。

電車を3時間乗り継いででも、やさしい先生にお世話になりたかった。でも、やさしい先生は変わってしまった。

後日、紹介状を受け取るためだけに再度そのクリニックに行った。受付の人から紹介状を受け取って料金を支払った。

そのとき、どこの病院にいったらいいか見当もつかなかった。

手元にあるのは紹介状1枚。

これを渡すところをまちがえたら、大変なことになりそうな予感はした。

でも、地元のどこの病院に行けばH先生のように「統合失調症」の患者に診断名をぼかした診断書を書いてくれるのか…

職場のすごくおしゃべりで有名な同僚の女性に「統合失調症」と知られるのが嫌だった。

子どもが同じ小学校に通っていた。

子どもには、いつか私から傷つかないような方法で私の病気について伝えたかった…

それまで統合失調症の自分が紹介状なしで転院したことはなかったし、必ず紹介状を持ってくるように言われてきた…

まずはネットで検索してみた。

県内にはたくさんの精神科病院やクリニックがあった。

グーグルの口コミで★の多いところから読んでみた。

どうも、よく読むと身内が投稿したような雰囲気のメンタルクリニックが多かった。

よくよく考えてみると、紹介状が必要なのは確かだがなぜ初めからいるのか?という疑問がでてきた。

医師だって人間だ。合う合わないがある。

一度もあったこともないのになぜ最初から紹介状をもってそこにお世話になることを決めないといけないのか…

そこで、私はおもむろに県内の通える範囲のメンタルクリニックと精神科病院に電話をし始めた。

恥は覚悟。子どもを偏見から守りたい。どうしても。

自分も守りたい。そうでないと生きていけない。

腹をくくった。

紙のノートに自宅から近い精神科の電話番号を書き出して、1件1件電話をかけた。

「はじめてお電話しますはなというものです。実は、統合失調症という病気をもっていまして、今県外の病院にかかっているのですが、遠くて通うのが大変なので転院したいと思っております。しかし、先生との相性というものがあると思うので、初回は紹介状なしで受診できないでしょうか?その先生に主治医になってもらうと決めたら、改めて紹介状をもっていきますので。」

多分、30件くらいはかけた。

ほとんどの病院には断られた。

「当院は紹介状なしでは受け付けておりません」

この言葉を何回聞いたか覚えていない。

たまに、親切な受付の人は先生に聞いてくれた。

「やはり先生は紹介状がないと病状のわからない患者さんは診ることはできないと言っております。」

お世話になると決めたら後から持ってくると言っても、最初からないとダメだと断られた。

こうしてお願いというか、患者と病院という圧倒的に不利な立場で交渉しながら電話をかけ続けたら、3件だけOKしてくれた。

1件目はグーグルの口コミで、「スキンヘッドとパンチパーマの看護師がでてきた」と書かれていた本格的な精神科病院だった。当時の2ちゃんねるでもいつも悪口が書いてあったところ。

どすの効いた声のおじさんが電話に出てくれた。紹介状なしで初診をみてもらえないか聞いたら、

「なにい~紹介状がないだって!?(どすがきいていた(^^;))いいよ~とりあえずきなよ~(こっから猫なで声(-_-;))」

「…やっぱりいいです」

そこはやめておいた。

2件目は日曜日もやっているメンタルクリニック。

よく見たら近くに新しい良さそうな精神科病院ができて客をとられてこまっているような感じ。

日曜日に行ってみた。

先生に正直に診断書に統合失調症と書かないでもらえないかときいたら

「俺はそんなことできないな~」

といわれたのであきらめた。

長いのでその4に続く。

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