主治医を変えたときの話(その1)

H先生がある日、かかりつけの病院を退職されてしまわれた。

理由も何もわからず、病院に聞いても何も教えてはもらえない。

せめて今までのお礼を書いた手紙を、切手も貼るし、中も見えるようにするから届けてもらえないか病院にきいたらそれも却下された。

そのときにH先生の後任となった先生もいい人だった。若くてやさしいお兄さん先生。

H先生がいなくて寂しかったが、とりあえずその先生にかかることにした。

その時は電車で2時間以上かけてH先生の地元の病院にかかっていた。

ある日、その若い先生がそこからさらに遠い場所にクリニックを開設することになった。

また主治医を変えてやさしい先生にあたる保証はない。

私はその先生についていくことにした。

クリニックを開設した当初、その先生は優しかった。

患者も少なかったので時間もとってもらえた。

しかし、そのうち先生自身が「経営者」としてのプレッシャーに押しつぶされてしまった。

そのころ、私はまた職場で悩みだした。

保育園の子ども2人を抱えて、単身赴任の夫は頼れず、保育園と両親に育児を丸投げして仕事をしていた。職場では新たなパワハラの標的になってしまい、何をするにも非難される事態になってしまった。そのうえ、家庭の事情を伝えているのに過大な業務量を押し付けられて、抗議しても変わらず、毎日朝7時から夜10時まで残業していた。土曜日は保育園行事、日曜日も一日会社に行って残業していた。子どもは不安定になってきていた。ある日、家族で外食していたら、ファミレスのがやがやした雑音が布の向こうから遠く聞こえてくるように感じて、視野が暗く狭くなってしまった。ヤバい!とさすがに慌てた。診断書を書いてもらって休まなければならない事態になってしまった。

そういうときH先生は自発的に聞いてくれたが、普通の先生はそうはいかない。いかにそれを伝えようか考えて紙に書いてそれをまとめて一生懸命伝えた。

それでも、それを嫌がられるようになってしまった。

経営者としては、患者に時間をとればとるほど苦しくなってしまう。

そのころ、職場にはとてもおしゃべりで子どもが同じ小学校に通う同僚がいた。

そして、診断書の情報はひどいときは回覧されているほどたやすく漏れる状態だった。

診断書を書いてもらうにあたり、私はどうしても「統合失調症」とは書かないでほしい、と当時の主治医にお願いした。

当時の主治医はそれを聞いて「俺に診断書を偽造しろというのか!」と言って怒りだした…

職場の事情を必死になって話して、その時に限り「統合失調症」と書かれていないぼかした内容の診断書を何とか書いてもらえた。

人生でかなり辛いその時期に、1枚の「統合失調症」と書かれていない診断書をいただくために、私はそのクリニックから「あなたはもう他の病院に行った方がいいでしょう」と、先生に見捨てられる事態になってしまった。

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